PC-6001mk2

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NECがかつて販売していた8bitパソコン。PC-6001シリーズ。その第二世代に当たる機種がPC-6001m2です。

消しゴムキーボードと揶揄された、アイソレーションタイプの初代と打って変わって、PC-8001の似たルックスりなり、BASICも強化、オプションだった音声IFやFDIFを内蔵し、概ね完成形となりました。

近所のスーパーの電機売り場に置いてあったデモ機が、ひたすら「スベスベマンジュウガニ」としゃべっていたのが記憶に焼き付いています。

勿論、これを常時稼働可能な状態にして遊ぶというのは現実的ではありませんが、エミュレータがたくさんありますから、ROMさえ入手すれば遊べる環境が手に入ります。

初代ではN60-BASIC+CGROMだけでよかったので、互換ROMデータがフリーで入手できますが、N60m-BASIC, KANJIROM, VOICEROMも必要になるmk2ではこれらを全部フリーでそろえるのは困難です。

なれば、実機を入手するのみ……。と、いうことで、一台、ヤフオクで競り落としました。

本体、箱、キーボードカバー、そして、N60m-BASICマニュアルがついています。通電確認のみ、とのことなので、コンポジットに繋いで電源をON。おお、映った。ちゃんと動きますし、とりあえず、「スベスベマンジュウガニ」としゃべらせます。おお、こいつ、しゃべるぞ!

と、いうわけで、生きているうちに、ROMを吸い出します。RS-232Cが標準装備ではないPC-6001シリーズですから、ROMの吸い出しは独特です。CMTインターフェイスを活用、つまり、音で出力して、それをPCでうけとって、バイナリに変換するのです。ROMを吸い出す、saverというプログラムが公開されており、WAVファイルから、ROMデータを得るためのツールももちろん公開されています。

あとは、CMTケーブルと、すっかりマイク端子を見かけなくなってしまったPCにUSB-オーディオアダプタを買うだけです……。が、これが意外と厄介でした。

ケーブルの仕様は公開されていますから、それに従い、部品を調達してはんだ付けするだけです。ぶっちゃけ、デッキのコントロールとか不要なので、DIN 8pinプラグと、φ3.5のミニステレオプラグx2があればOK。DINプラグとステレオミニジャックケーブルを千石電商に発注。サクサクはんだ付け。テスターでショートがないことを確認して、接続。PC側は中華製のアダプタを用意しました。

まずはsaverをWindows Media PlayerやらVLCやらで再生。6001はcloadで受信……しません。まさかCMT IFが死んでる? とりあえず、saveができるかテストしてみます。

100 TALK "f sube sube maxzyugani."
csave "test"

として、PC側はWindows10標準のレコーダで待ち受けます。……あかんやんか。いよいよCMT IF死亡説が高まりますが、CMT周りはほとんど抵抗とセラコンばかりで、ケミコン抜けなどのいかにもな劣化はないはずです。分解して目視チェックしても、とくに劣化は見当たりません。

となると、疑わしいのは、自作のケーブルか、USBオーディオです。流石に、単純すぎる自作ケーブルに問題があるとも思えないので、USBオーディオをBUFFALOのものに変えるべく発注します。これが、昨日届いて、早速トライ。相変わらず、cloadには反応がないのですが、csaveは録音されています!

なので、saverは手で入力して、走らせることに。音声データは8bit モノラルのWAVファイルにしないといけないのですが、この期に及んで、Windows10のレコーダはこのフォーマットに対応してないっぽいことに気づきます。慌てて、フリーソフト探して、録音開始です。

PC-6001mk2では、BASICROM.62と、KANJIROM.62、VOICEROM.62、そして、CGROM60m.62とCGROM60.62が必要になります。CGROM60.62以外はN60m-BASICで保存できますが、CGROM60.62はN60-BASICでないと吸い出せません…さんてん。つまり、リセットして、もう一回saverを入力してやらないといけません。あう。cloadめ!

まあ、CGROM60.62だけ吸い出せればいいなら、すべての行はいらないので最低限。

100 CLEAR 300,&HEFFF:OS=&HF000
110 FOR AD=0 TO &H3F:READ A$:POKE OS+AD,VAL("&H"+A$):NEXT
120 PRINT "Hit any key to Rec"
130 IF INKEY$="" THEN 130
140 PRINT " Saving..."
150 EXEC OS
160 END
1000 DATA CD,B8,1A,F5,E5,D5,21,00
1010 DATA 60,11,00,20,00,00,00,00
1020 DATA EB,D5,3E,04,F3,D3,93,1A
1030 DATA F5,3E,05,D3,93,F1,FB,D1
1040 DATA EB,CD,CC,1A,00,00,00,00
1050 DATA 23,1B,7B,B7,20,E2,00,7A
1060 DATA B7,20,DD,00,CD,06,1B,D1
1070 DATA E1,F1,C9,00,00,00,00,00

と、こんな感じでOK。

取り込んだWAVは頭の無音部分としっぽの無音部分とはそれぞれカットします。でないと、変換ツールが変換失敗してしまいます。ピーから始まって、終わりでぶつっと終わる形でないとダメです。

こうして抽出したROMで、ようやく、PC-6001mk2がエミュ上によみがえりました!