Rollei 35

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ハーフカメラは、フィルムを節約し、さらにはカメラ本体を小型化できるという利点から、1960年代から70年代初めにかけて、国内ではかなり流行しました。

オリンパスPENをはじめとするハーフカメラは、その当時のフルサイズ機であった、キヤノネットやエレクトロ35などよりも、ずっと小さく、ポケットに忍ばせることが出来るほどで、機動性に大きな差がありました。

しかし、写真の仕上がりという点では、やはり、半分のサイズで写す写真は、フルサイズのそれと比べても粗く、画質の面では、フルサイズに及びませんでした。

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そんな中、1967年になると、一つの大きな転機が訪れます。Rollei 35の登場です。Rollei 35はフルサイズカメラでありながら、そのボディの大きさは、ハーフサイズ機と同等で、むしろやや小さい位なのです。ここに、ハーフサイズカメラの圧倒的な利点であったサイズは、最早、フルサイズに対する利点ではなくなってしまいました。

左下の黒いボディがRollei 35で、上の二台は、オリンパスPEN EE-3とPEN Sになります。右下は、同じくフルサイズ機の富士写真工業のGE-Rです。GE-Rは1973年の製品ですのでRollei35が誕生した時点ではまだ存在していません。比べれば、Rollei 35がいかにコンパクトなのかが解ります。

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そんなわけで、Rollei 35の登場はその後のカメラの歴史を塗り替えてしまったわけです。Rollei 35は、なので今でも人気が高く、特に、近年ではたまゆらなどの影響もあって入手がなかなか大変なのです。長いこと欲しい欲しいと思っていたのですが、今回ヤフオクで、ひょいと入手出来てしまいました。

Rollei 35の特徴的な所は、まず、この正面に並んだダイヤル類と沈胴式のレンズでしょう。Rollei 35は初期のモデルはドイツで生産され、レンズはカールツァイスのテッサーを搭載していましたが、途中から生産がシンガポールに移管され、レンズもRollei自身によるライセンス生産に変わります。シンガポールモデルは、ファインダーの倍率も下がっています。

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今回入手出来たのはシンガポール生産のモデル。銀座のスキヤカメラではシルバーのRollei 35のシンガポールモデルが25,000~27,000円で売られていました。ちなみに、ドイツ生産のモデルは42,000円でした。まあ、ライセンス生産でもレンズはテッサーですし、ファインダー倍率が下がってもそれは写真の写りには関係ないので、よしとしますが、需要という意味では随分違うモノですね。

さて、写真を撮るには、沈胴しているレンズを引き出し、かちっと言うまで回して固定してから、絞りダイヤルとシャッタースピードダイヤルを回して、軍艦上部にある露出計の白い針とオレンジの針が重なるように調整します。重なれば適正露出。で、あとは目測でピントを合わせてファインダー覗いてシャッターを切るだけです。

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ハーフのPEN Sも目測式のピント合わせでしたが、ハーフサイズのため、レンズを広角寄りのモノにしているので、被写界深度も深く、ちょっと絞ればピンを外すようなことはまずなかったのですが、こいつはフルサイズなので、距離を外すとちょっと酷いことになりそうです。

ここで説明しただけでも、シャッター切るまでにすることが多いのが解ると思いますが、本当にゆっくりと撮るカメラなんだなと思います。

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フィルムカウンター、巻き上げの部は本体下面についています。ホットシューも下側にアリ、変わった配列です。三脚にたてると端子が干渉してしまうのでフラッシュは使えない感じですね。

裏蓋は底蓋と一緒にごそっと抜けるタイプ、PEN Sと同じ。ふたを抜いたら、フィルム押さえが現れるので、それをめくればレンズが露出します。レンズシャッターは最後列じゃなく、後玉の前になっています。

DPP_0002露出計は、セレンではなくCdSなので、電池が必要になります。電池はPX625で、変な形状。電圧も1.26Vしかないので、アルカリ電池に比べて0.2Vほど低くなっています。この電圧の差は、露出計に影響があるのかないのかわからないので、関東カメラからMR-9アダプタを購入しました。このアダプタは電圧を1.35Vとあるんですよ。

とりあえず、フィルムを装填したので、あす以降は回復するということではない様子。さて、どんな写りになりますのやら?今から楽しみです。