キヤノネットとエレクトロ35

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大抵、デジカメでも、絞り優先AEで撮っていることが多いわたし。最初のカメラが絞り優先AEのエレクトロ35GLであったことも多少なりとも影響しているとは思いますが、要するに、被写界深度というわかりやすい「写り」をコントロールしやすいというのが最大の理由です。

そう。写真をコントロールするなら、絞り優先AEは割と、わかりやすい露出の制御方法になるのですが、エレクトロ35以前のカメラは、シャッター速度優先EEが多かったのです。キヤノネットもそんなカメラの一つ。

エレクトロ35以前では、わかりやすくとも、メカニズム的に絞り優先を取り入れることは難しかったのです。

絞り優先AEでは、絞りを決めると、それにあわせてシャッター速度が決まります。つまり、シャッター速度を何らかの処理結果によって決める必要があるのです。

が、多くのカメラは、シャッター速度を機械式……つまり、スローガバナーという「時計」で制御していたため、絞り値に合わせて速度を変化させる仕組みを詰め込むのが困難だったわけです。

代わりに、シャッター速度を決めたらそれに合わせて絞りを変えるという方法で自動露出を行っていたわけです。自動絞りは、セレン光電池から得た電力で駆動しています。(露出計もこれで駆動している……と、いうよりも、ここから得られた電力が即ち露出でもあるわけだが。)

エレクトロ35は、シャッターを開放でホールドするために、電磁石を使って電気で制御するようにしました。これで、絞り値(実際にはセンサーが拾い出した明るさを電荷に変換したその量。)に応じたシャッター速度を実現できたわけです。引き替えに、「電池」が必要になり、この点は当時は賛否両論だったわけですが。

1961年発売のキヤノネットと、1966年発売のエレクトロ35との間には、そんな時代の境目があるわけです。そんな二台。

なお、この当時は、レンズはとてつもなく明るい開放F値を持っていますが、このあと、フラッシュの普及とともに、F値は3.5とか4へ、カメラもそれにつれてコンパクトになっていきました。