さあ、カニ目回しだ。セレンの外側によく見ると、二カ所、直径上に切り欠きがあります。そこにカニ目回しを突っ込んで反時計回りに回してやれば、セレンの集光レンズがはずれます。リード線でセレンは本体側へと引き込まれているので、ここを断線しないように注意が必要です。
更に、前玉の脇にあるカニ目回しのうち外側のものを回してやると、前玉、二群二枚が外れます。外した集光レンズと前玉はこんな感じ。
この時点で、シャッター羽根が露出します。見ての通り、あまり綺麗ではないので、清掃します。
本当は、完全に解体して、ベンゼンなどで洗浄すべきなのでしょうが、とりあえず、シロートなので、百均で買ってきた、注射器型のスポイトで、ジッポーオイルを滴下します。
百均でも「オイルライターオイル」は売っていましたが、品質が疑わしい気もするので、ここはおよそ三倍の価格のジッポーオイルを調達します。
滴下してしばらく待ったら、チャージして動かないので放置してあったセルフタイマーが「ジー」と音を立てて動き出し、最後に「チッ」とシャッターを駆動して終了しました。
はい。クラシックなレンズシャッターカメラの多くが患うという、潤滑油の滲出によるシャッター粘りってヤツが原因でした。と、言うわけで、疑皮をはがしてシャッターユニットを分解することなく、修理完了です。
とりあえず、見える範囲を綺麗に掃除して、ついでに、やや緩い動きをしている感じのあった絞り羽根もジッポーオイルで洗浄しておきます。
キャノネットのシャッターは、シャッタースピードをB(バルブ)にして、シャッターボタンの周りにあるリングスイッチをT(タイム)にしてシャッターを切ると、シャッターを開いたままに出来ます。この状態で、シャッター羽根の裏にある絞り羽根が露出するので、めいっぱい絞って、ジッポーオイルを滴下して洗浄です。ビバ!ジッポーオイル。
この状態で、レンズを再び組み込んで、絞りをAUTOのレンジにして、あちこちに向けてシャッタースピードを変えながらシャッターを半押しすると、ファインダー内の簡易露出計、即ち、露出警告の矢印が機能していることがわかりました。
最後に、劣化の懸念があるモルトをはがして新品に貼り替えて終了です。500円で、セレン電池のシャッター速度優先EEカメラ。レンジファインダーカメラに価格破壊をもたらした伝説のキャノネットをゲットしてしまいましたよ!
さあ、修理は終わった。今度はISO100のフィルムを調達してきて、実写編に突入したいと思います!
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