日本以外全部沈没

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日本以外全部沈没—パニック短篇集
筒井 康隆
角川書店 (2006/06)

日本以外の全ての陸地が沈没してしまった。国外の有名人が大挙して日本に押し寄せ……。何でも、この夏、映画化されるとかっていう話なので、ちょいと読んでみました。

本は表題作他を収録した短編集で、表題の「日本以外全部沈没」はたった20頁ほど。勿論、小松左京の「日本沈没」のパロディなわけだけれど、物語は、新聞記者たちが集う(故に、情報を求めて、日本に住み着いた著名外国人たちも集まる)バーのみを舞台として、展開し、最後を迎える。原典に対して、大変、ちっぽけなスケールで展開するのがまた面白い。でも、オチはどうだろう? まぁ、こんなものか?

表題作を含め、収録された短編はみな60年代〜70年代に発表されたもので、当時の世相がよく判っている世代ほど面白いのだろう。ボクには正直ちょっと、掴みかねるものが。万博、学生運動などがモチーフとなっているからだ。このあたりの記憶が鮮明なヒトにはより面白いのだろうと思う。