広角礼賛の怪

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

ナンだか、最近、ブログなどで写真に目覚める方が増えて、それは結構なことだと思います。が、少々気になるのが、やたらと広角礼賛していることが多いように思うのです。不特定のサイトでそういう傾向にあるように感じるので、何か、そのような扇動が行なわれているのではという気がします。でも、誰が何のために?

広角側に広いのがいい、わけでは必ずしもないと思います。広角側が広いほうが向いている写真素材があるのは確かです。風景、子どもの運動会、パースを強く付けたり、被写界深度を深めにしたりといった写真表現のため……などなどですが。でも、広角礼賛の人のページに掲載されている写真見ても、必ずしもそうではなくて、スナップだったり、ポートレイト的だったりするものが中心だったりするんですよね……。

スナップ、ポートレイト、そして、草花や虫、動物、料理などをとる場合には、広角側ってそんなにいらないですよ。大体、もし、うまく収まりきらなければ、自分が少し下がればすむことがほとんどですから。光学ズームが当たり前になって、こういう、「自分が動く」ことを厭う人が増えたように思います。自分が動くのって基本だと思うんですけれどね。

そして、一眼レフやそれに順ずるような大型センサーのカメラならいざ知らず、タダでさえ画角が狭くなりがちで、かつ光学系に余裕の少ないコンパクト機に、広角を無理無理広げさせるのって言うのは、どうなんだろうという疑問もあります。勿論GRなどの秀作もありますが、無理に広げられた画角は歪んだ画をつくりますし、同時にズーム機の場合は望遠側が短くなっているということも忘れてはなりません。n倍の倍率の基点は広角側の画角だからです。

自分の撮りたい写真の被写体が主になんであるのかを良く考えて、本当に広角が必要かどうか、考えてみる必要があるんじゃないかと思います。ちなみに僕は広角大好きですが、コンパクト(DSC-T5)にはそれは求めません。撮るものは、スナップだったり、1cmまで寄れるマクロを使って花や虫だったりするからです。広角で風景やパースで遊ぶのは、EOS Kiss DNを使います。