Herios 44-2であれこれ撮ってみた

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Herios 44-2は、ダブルガウス構成の標準レンズですが、コーティングが今とは比べ物にならないくらいの時代のものでした。この時代は、空気とガラスとの境界面を減らしてコントラストを上げるのが主流で、テッサーやゾナーといった三群構成が中心でした。レンズが凹凸凸凹と対称に並ぶガウス配列は収差の補正にはピッタリなのですが、そういう時代だったのです。

なので、おそらくこのレンズもふんわりしたコントラストの弱めな描写になるんだろうなと思いました。まあ、実際そうなのですが。

左上が Herios 44-2、右上が Jupiter 8、左下が Induster 61、そして右下が New FD 50mm F1.8です。絞りはすべてそれぞれのレンズでの開放で、EOS M5の絞り優先AEで撮っています。結果すべてが1/4000s ISO100で撮影されています。

Jupiter 8はゾナーなので、明るいレンズです。開放 F2で、Herios 44-2と同じです。そしてもちろん開放で撮っています。Induster 61は F2.8で開放F値が暗めです。同じ構図でも暗めに写っています。とはいえ、コントラストは強めですかね。さすがにS.S.Cのキヤノンレンズです。明るくクリアです。Jupiter 8も明るくもコントラストはきっちり出ています。やはりHerios 44-2はやや明るいところがふんわりしていますかね?

このレンズを特徴づけるもう一つのポイントはぐるぐるボケです。

EOS M5で、同じく絞り優先AE。開放F2で撮って 1/800s ISO 100です。手前のコスモスにピンを置いて、背景のコキアとコスモスがぼけてますが、コスモスのところがぐるぐるボケになっています。やっととれた。狙っているとなかなかでないものです。New FD 50mm F1.8や EF 50mm F1.8 STMなどでは絶対に出ません。

描写がふんわりするので、こんな写真はどうでしょうかね?

女性の銅像ですが金属の硬質的な感じが弱まって、柔らかく映ってないですかね? 今どきの、パキパキに解像するレンズはもちろん、コントラスト高めの三群オールドレンズたちでもなかなかでない味じゃないですかね?

明るいレンズでコントラストも低めになるとなれば、ハイキーな淡い感じの写真が撮れる......ともいえるような気もするので、そういう写真やぐるぐるボケを求める人には、おすすめの一本じゃないでしょうか。安いですし。コピー元となった、カールツァイス・イェナの BIOTARは数千円では買えないと思いますし。