Gboardを使い込んでみる

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Android版のATOK(買い切り)が2021年10月末を以てサポート切れになってしまいます。長らく使い続けてきたので、手になじんでいますし、日本語入力システムとしての完成度も高くお気に入りだったのですが、サポート切れでは仕方ありません。

JustSystemはATOK Passportへの移行を推奨していますし、日本のソフトウェア産業を支える意味でもそうした方がいいかという気もします。でも月額500円程度のお支払いがリーズナブルなものかどうかというと、これはまた別の話です。お小遣いには限りがあるのです!

ATOK Passportであれば10端末、しかもAndroidのみならず、Windowsでもインストール出来て使えます。わたしは、4台のWindows端末と、2台のAndroid端末を持っているので、それらに導入することを考えれば、まあ、妥当な価格といえるかもしれません。が、Windowsに関していえば、MS IMEにすっかり慣れてしまっているので、あえて乗り換えないでもナーという自分もいます。

と、なれば、ATOKではない、日本語入力の可能性を考えてみるしかありません。とはいえ、他というと、以前やらかした、中国資本でなにやってくるか見えない Shimejiとか、30年くらい前のテクノロジーでできているOpenWnnとかになるわけですが、流石にないだろうって感じです。なので、ここで試すのは Gboard 一択になるわけです。

Gboardは気づけばインストールされているので、単純に、入力キーボードを切り替えるだけです。ただ切り替えただけでは使いにくいし、豊富なカスタマイズ機能を持つ Gboardを使いこなしているとは言えません。

とりあえず、行った変更は以下のようになります。

  • 日本語キーボードは12キーで三状態、フリックのみにし、英字入力は QWERTYにしない。
  • 英語(米国)キーボード(QWERTY)をインストールする。
  • キーボードの高さを最低にする。
  • 数字行(QWERTYの時に常に数字行を表示する)


12キーはオーソドックスなテンキースタイルの入力キーで、基本的な入力を行うものになります。ほとんどのスマホ向けの日本語キーボードはこんなもんでしょう。ATOKと大きくは違いませんが、カッコの入力がATOKが左下の「゛゜」キーにマップされているのに対して、や行の左右へのフリックになっています。あと、右下の句読点キーの上下へのフリックで「?」「…」が入力できます。バックスペースキーは長押ししても一括削除とかは出てこないですし、定型句みたいな機能はないし、後変換もありません。まあ、いずれも頻繁には使わないので気にはなりません。

三状態にするのは、単にATOKがそうだったからで、さかのぼればPalmOSのころからこれに飼いならされているのでそうじゃないと違和感ありまくりだからです。気にならない人は二状態の方が使いやすいかもです。

英字はQWERTYだろう、と思うかもしれませんが、テンキーで置いときます。これは、英語キーボードと区別するためです。主には英字は英語キーボードを使うのがGboardならではであり、ATOKにはない利点をもたらしてくれます。

かな入力(「あ」のモード)で、文字が入力されてない状態では左下の「゛゜」キーは、地球儀キーになっていて、英語キーボードへの切り替えを行えます。英数字を入力するときは、つまりは日本語キーボードの「a」モードへ行くのではなく、英語キーボードへ遷移します。こうすると何がいいのかというと、「グライド入力」と「スペルチェック」が使えるのです。ATOKでは使えなかった機能です。グライド入力は、文字を一つずつ押すのではなく、単語を綴りの順に一筆でキーボードを撫でていくイメージで入力します。慣れればポチポチ押しより速くなります。ちょっとくらい違っていても、後で修正もできますし、スペルチェックも働くので、英字の入力がぐっと楽になります。

この状態まで設定を煮詰めて、半日ほど本気で使ってみたところですが、なんか、もう、これは、Gboardでいいんじゃないかという気分になってきています。

更に、右端にあるマイクボタンを押すと音声入力モードになるのですが、TensorではないPixel3やZenfone Max M2でさえ、普通の精度で入力できます。さすがに句読点は認識できないようですが。キーボードを英語にすれば私の残念な発音であっても、期待した通りの英文に直してくれます。

こういった、ATOKでは得られなかった多くの機能が、便利で仕方がないので、日本語の入力精度が若干低いかもしれないとか、キーアサインがATOKと違って戸惑うとか、そういうデメリットに目をつぶっても、なお余りあるものがあるのです。

今の気分としては、なんでもっととっととGboardに移行してなかったのかと、悔やまれるほどに、ATOK Passportへの移行という目はないな、ってなっています。

ATOKは日本語入力に関してはスペシャリストですが、残念ながら、日本語だけで入力が完結するわけでもないので、英語と日本語の両方を使うのであれば(あるいはもっと多言語を使う人であればなおのこと)わずか半日で魅了されるほどに、Gboardは素晴らしいツールであると、思います。

まだ、お試しでない方は、是非トライしてみてください。ATOK PassportがサポートしていないiOS版もあるようなので、林檎勢の方もよかったら。