TAMRON 16-300mm F3.5-6.3 VC PZD

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EOS Mは普段持ち歩いてスチルを撮るほかに、みのりの競泳の試合や運動会で動画撮影用としても利用しています。

そういった場合はEOS 70Dの方がスチル用として利用されるわけですが、ムービー用途としてのEOS M、というかEFマウントシステムには、致命的といってもいい欠陥があります。

そう、一本でほぼ全ての領域をカバーできる、高倍率ズームレンズの存在です。

キヤノンは、一貫して、そういったお手軽レンズをラインナップしてきませんでした。当然、高倍率になればなるほどど、レンズの設計は困難になり、キヤノンの求めるクオリティに至らないのかも知れませんが、レンズを好感すればいいスチルと違い、動画はそういうわけにはいかないのです。

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EF-Mなら或いは、多少収差の問題などがあっても、高倍率ズームを出してくれるんじゃないか?そう思って待っていましたが、18-55mmという標準ズームと11-22mmという広角ズームの他は22mm単焦点だけというラインナップのまま、拡充の気配もないのに、業を煮やして、TAMRONの16-300mmを買ってしまいました。

高倍率ズームとしては実はこれが三本目。シグマの18-200mm F3.5-6.3を皮切りに、TAMRON 28-300mm F3.5-6.3(写真中央)、そしてこの16-300mm F3.5-6.3(写真右端)です。

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重量としては、600g(実測)で、28-300mmと同じ。それでいて、APS-Cのみとはいえ、16mm始まりなのですから、使い勝手は非常にいいです。コレ一本で近くから遠くまで満遍なくカバーできます。

AFはPZDでフルタイムMF可能。開放F値は、他の高倍率ズームと同じですが、F6.3が、28-300mmが300mmから250mmあたりまでなのに対して、こちらは150mmあたりまでと、開放F値はかなり暗めになっています。

まあ、昨今のデジカメはISO6400程度までは常用可能なので、あまりこの辺は気にしなくてもいいでしょう。ボケに関しても流石に望遠端ともなれば480mm相当で、被写界深度は絞りに関係なく浅いので、綺麗にぼけてくれますし、広角端ともなれば同様に元々被写界深度が深いために、絞りが多少あけられたところで大したボケ量は期待できないので、このレンズに関してはコレでいいのだと思います。

水筒の写真は、上が、TAMRON 28-300mmで、下がTAMRON 16-300mm。いずれも、EOS 70Dに装着して、望遠端で撮影したものです。同じ会社のレンズですから、基本的な風合いみたいなものは似通っていますが、新しい、16-300mmの方がシャープな感じがします。

ズームリングはやや重め。PZDは非常に静かで速いですが、EOS MのハイブリッドAFでは像面位相差AFでざっくり行ったあとの、コントラストAFで、「コココココ……」と位置の微調整をしている感じが解ります。ステッピングモータではないので、すぱっと細かく動かすのは苦手なようです。

フルタイムMF可能なので、そのままピント環を操作すればMFになります。EOS Mの場合は、大デフォーカスからの復帰に迷いがちだったりするので、手で回すことも併用した方がいいでしょう。ピント環の位置が、従来のTAMRONとは逆で、手前側(先端側はズームリング)になっているので、なれるまで戸惑いそうです。

相変わらず、ズーム環の向きがキヤノンとは逆、ニコン仕様なので、TAMRON使ったことないキヤノンユーザには戸惑う場合があるかも知れません。(シグマは、ニコン用はニコンと、キヤノン用はキヤノンと同じになるように回転の向きを変えている。)

色合いは従来の金ぴかリングから、クロムシルバーの落ち着いた色になり、高級感が出ました。ズームリングの滑り止めパターンも、シンプルなものになり、こちらの方がわたし好みです。

手ブレ補正は、十分信頼できる精度で、望遠端でも手持ちで安心して撮影できます。全体的にオススメな一品です。

唯一の弱点は、価格でしょうか。70,000円前後になりますので、広角端も望遠端もここまでは入らないという場合には、18-270mmもしくは、シグマの18-250mmを考えてもいいでしょう。