FUJICA GE R

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またも、キタムラのジャンクコーナから救出してきました。500円。

FUJICA GE Rはレンズ横のエンブレムからも明らかなように、いわゆる電子カメラ、或いは当時の技術水準から言うのであれば電気カメラ、に分類される。

つまり、キヤノネットやPEN Sのような、セレン式、或いは、完全機械式のカメラよりも、複雑であり、修理の難易度はぐっと高くなると言うことである。ちょっと迷ったが、出会ったのも何かの縁。とりあえず、買って帰ることにする。

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当然のように、巻き上げもシャッターも動かない。が、あとで調べたら、GE Rは、電池切れの場合シャッターが切れないようになっているそうである。シャッターが切れなければ、巻き上げも当然動かない。

とりあえず、この手のカメラの分解には大分慣れてきたので、軍艦を開け、レンズユニットも取り外してみる。巻き上げレバーはカニ目ではないが、ゴムを押し当てて回してやればカニ目同様に簡単にはずれる。

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このカメラの場合は、巻き上げレバーを外したところに、カニ目のネジがかくされている。巻き戻しレバーの下にもネジが隠れているので、軍艦の横、後ろとこの二カ所のネジを外すと軍艦が外れる。

レンズもファインダーも綺麗なもので、1974年というプロダクトイヤーもあって、比較的状態は良かったのだろうと思う。

巻き上げ部、シャッターユニットが動作することを確認。セルフタイマーレバーにテンションを与えるバネが外れていたので、これを丁寧にはめ戻す。ぷらぷらだったレバーが蘇る。

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あとは、元通りに組み上げていく。お決まりのようにモルトはすっかり加水分解しているので、貼り直していく。

これももうすっかり手慣れた作業となってしまった。

FUJICA GE Rは、開放F2.8の38mm FUJINONレンズを搭載し、完全電子制御で、F2.8-F13, 1/4s~1/800sの自動露出で撮影をする。

露出不適正の場合は、シャッターは切れないようになっているらしい。ピント合わせは二重像式。会モデルのGEにはない機能だが、エレクトロやキヤノネットでは当然のようにある。まあ、なくても、最近すっかりPEN Sで目見当でもピントあわせられるようになってきたので、いいかもしれない。ただ、絞りを自分で決められないので、被写界深度をコントロールできないことを考えると、やはり二重像は安心。

フィルムを巻き上げると、フィルムカウンターの隣の窓が緑から赤に変わる。シャッターを切るとまた緑に戻る。シャッターがチャージされない状態では、シャッターボタンは押せない。押してもスカスカの他のカメラとは動作が違うので少々戸惑う。

背面にはフィルムの巻き上げと同期して動くインジケータと、装填されているフィルムの名称や枚数が見える窓がある。この窓は今でこそフィルムカメラには当たり前に付いているが、GE/GE Rが元祖らしい。フィルムの巻き上げを示すインジケータは余計だと思うかも知れないが、PEN Sでもキヤノネットでもちゃんと巻き上げているのか非常に不安になったので、あると嬉しい機能だと思う。

低輝度や露出不適正の場合は、軍艦上部とファインダー内にランプが付いて知らせる。これはエレクトロなどでもおなじみの機能だが、エレクトロはOVER/UNDERを知らせるが、これは、単にランプが点くだけ。完全自動制御なので、ユーザはどうにも出来ないのである。あきらめるかフラッシュを使うか、光源を追加するかなどの対策を講じるしかない。

電池は、お決まりの水銀電池。もはや入手不能。電池ボックスは電池を二本直列に入れるようになっていたが、1.35V×2だったようで、1.5VのLR44を二つ、片方の電池ボックスに突っ込んで、残りは単に導通させるだけのバネなどを入れておくのが、とりあえずの対処法らしい。

ぐらぐらと、電池の座りが悪いので、百均で、アルミの軸のマーカーを買ってきて、インクを流してしまい、適当な長さに切った上で、内側に絶縁のため、フィルムケースを切って板状にしたものを丸めて突っ込み、スペーサーとする。この中にLR44×2を仕込んでおくのだ。

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電池を入れたら、シャッターも無事に動作。暗いところでは長く開くので露出制御もどうやら大丈夫そうだ。勿論フィルムも巻き上がる。

気づくと、父からもらったエレクトロ35GLから始まったクラカメ遍歴は、キヤノネット、PEN S、そしてこのGE Rを加えて、四機種五台(エレクトロ35GLはヤフオクで一台落札して、二台体制になっている)になった。とりあえず、フィルムをつっこんで(電池のスペーサーにケースを奪われたフィルム)、この連休後半の写真を撮ってみようと思う。