一年以上寝かしておいた Stereo付録のスピーカーユニット。ちひろの夏休みの宿題用として、今年の付録を供出し、去年の付録は自分で一緒に組み立てるということで、ようやく、スピーカーとして完成の運びとなりました。
ユニットは、フレーム、磁気回路、ダンパー付きボイスコイル、コーン、センターキャップとばらばらになって入っています。
これを、手順書通りの順番に、まあ、おもに接着していく作業が、組み立て作業になります。
きちんと手順を守って丁寧に作業していけば、失敗はありません。一番難しいのはセンター出しの作業になりますが、これとて、説明の通りにやっていれば、間違いの起こりようはずがありません。
とにかく、手順に従って組み立てれば、およそ一時間半(うち、接着剤の乾燥待ちが一時間)ほどで、ユニット自体は完成してしまいます。
ぶっちゃけ、ここまでの作業だったら、特に、今回のように一念発起しないでもできてしまう程度のものです。
そう、問題は、このあとをどうするのか。そこに尽きるわけです。ご存じのように、スピーカユニットは単体ではろくに機能しません。
スピーカーは前面から音を出すと同時に、背面から逆位相の音を出します。これが、特に波長の長い低音域でいい具合に回り込んできて、前面の音を打ち消してくれるのです。
従って、スピーカーとして機能させるためには、キャビネットが不可欠になるのです。キャビネットは、スピーカーの扱いだとか見た目のためではなく、それ自体が音を奏でるために不可欠な存在なのです。
なんちゃってキャビネットなら、付録の入っていた箱だって構わないのですが、ダンボールスピーカーはあまりにみすぼらしい上に、夏休みの宿題として成立しません。おまけに、家人から「邪魔。捨てて。」と言われかねないのです。
ならば、木工。これしかないでしょう。スピーカーの動作原理について、もっともらしくレポートを仕上げれば、理科の自由研究に、木工を行なうことで、技術科の宿題も同時にこなせる、一粒で二度美味しい宿題にもなります。
本来なら、エンクロージャの設計をきっちりやるべきなのかもしれませんが、僕自身が初心者なので、そんな大冒険をするのもアレですから、あっさり、Stereo誌に載っていた、P-650Eと P-800Eのバスレフ型キャビネットの図面をそのまま拝借することにします。加工さえしくじらなければ失敗はないのです。
コイズミ無線で、スピーカーターミナルを調達し、シマチュウで、9mm厚のMDF板を買って、ついでに、その場で、直線カットだけしてもらいます。15箇所、450円で二台分をカットしてもらうことができました。
丸穴あけは、やってくれるところがあまりないらしいですし、高くつくらしいので、自分でやることに。ドリルと細工用の鋸で穴をうがち、ヤスリで整形していきます。
穴あけまで済んだら、水性ニスで表面を塗ってしまいます。MDF、加工が簡単なのはいいのですが、何しろ、のぺっとしていて、色も薄くて、仕上がりがダンボールみたいなので、苦労したのに家人の冷ややかな視線に晒されかねません。見かけは重要なのです。
ちひろはけやきとかいう明るい色のニスを選びましたが、僕は重厚感を狙ってマホガニーに。実際問題、奥さんは仕上がりを見て、「いいじゃない」と褒めてくれましたですよ。狙い通りなのです。
おまけに、ニスは刷毛で塗布したのですが、刷毛のむらが、MDFには本来は存在しない木目っぽい感じを出していて、予想外にいい仕上がりになりました。ちなみにちひろの奴を見た奥さんは「安っぽい」とばっさりでした。マホガニー大正解。
あとは、順番に木工用ボンドで接着していき、中に吸音材--これは、ニードルウールとかそんな立派なのではなく、全部、熱帯魚水槽用の濾過フィルターで済ましていますが--を敷き詰めて、箱に仕上げるわけです。
仕上がったら、あとは、スピーカーとターミナルとを、結線して、ねじ止めして完成となるわけです。
ユニットが小さいので、キャビネットの容積も小さく、以前春日で買った真空管アンプキットがちょうどマッチするサイズになりました。
音源がiPodなのがアレですが、いい感じになっております。耳が肥えていないので、実際、どの程度どうだとか、それっぽい言葉では表現できないのですが、きっちり音は出ています。真空管アンプのせいなのか、やや優しい感じの音(甘い、というヒトもいるかも)でなっております。
なんだかんだで、3日ほどかかりましたが、なかなか、楽しい作業でした。なるほど、こうやってオーディオにのめり込んで行くのだろうか、と、その深淵を垣間見たような気分でもあります。
なお、ちひろの方は、組み上げてみたら、片方スピーカーが酷い音でしかならないことが判明。どうやら、ちょっとコーンを押さえて傾けてやると割れなくなるので、ボイスコイルがきちんとまっすぐ入ってない状態で接着されてしまったのではないかと思われます。さて、どうしたものか。コイズミ無線にはまだStereoが山積みされていたから、アレを買ってくるしかないかな?
snapper
すばらしい夏休み工作ですね.
こちらは,まだ雑誌に入ったままです.夏休み工作は,別のものに決まってしまい,作るのはいつになることやら.エンクロージャーもコイズミで買うのはさぼり過ぎでしょうか?
hiro
コイズミのも半完成品ですし、それもありかなと思います。
P-800Eなら共立エレからも通販できたと思います。
コイズミは、今日寄ったのですが、まだ、品切れのままだったし。
まあ、子どもと一緒にガリガリと木工するのも意外と面白かったですが。
MDF材とかファルカタ集成材とか加工しやすい木材だとそれも楽しいと思います。