梶尾 真治
早川書房 (1997/09)
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ハートフル

一通り揃ってカタログ的な短編集
これも、今更、ですが、読んだのは随分以前。知人(どうもその節はありがとうございました。> iOさん)からいただいた本で、ふと本棚から手にとって、読み直してみたのです。これは、梶尾真治の短編集で、表題作他、計十一篇のSF短編が収録されています。どれも大変読み応えのある面白い短編だと思います。
知人は、田中芳樹の七都市物語(大転倒が襲った後の地球は七つの都市に分割され、月からの支配を受けていたが、月の人類は疫病で死滅。その後の七都市の興亡を描いたSF作品。)のパロディである、アンナプルナ平原殲滅作戦が収録されているということで(七都市物語をボクが好きなのはいうまでもないですね。)これをくれたのです。この作品だけは、先に七都市物語を読んでいないと面白くないでしょう。何しろ徹底的にパロディなので。他の十篇は予備知識ナシにも読めます。
特に面白く感じたのは、「時の果ての色彩」という作品の「時間」というものの設定でした。これが氏の独創なのか、どこかにモチーフがあったのかは判りませんが、案外こんなものなのかもしれないなぁと、妙に納得させられるような、そんなものでした。詳しくはネタバレになるので書きませんが。時間モノなので、当然の様に出てくるタイムパラドックスは、それはそのままに放置という潔さも大変によかったです。(尤も、そんなものに頓着していたら、短編ではなくなってしまうだろうから、それ以外に方法はなかっただろうけれども。)軽く、どこから読み始めても面白いので、ちょいと本を読みたくなったとかいう時にオススメです。
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