2.6.16.17への道(3)

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ところで、そもそも IOP ってナンだろうと、思っている人もいると思います。Xscaleじゃないのか、と。インテルのXscaleはARM v5TE ISAに準拠した組み込み用のプロセッサファミリーで、PDAなどに利用される、アプリケーションプロセッサPXAシリーズ、ネットワーク機器向けのIXPシリーズと、IO機器向けのIOPシリーズ(あとその他)に大別されます。IOPシリーズはARMコアに、IO機器向けの機能を組み込んだプロセッサになります。

IOPパッチはこれらのIOPシリーズに特化した機能を利用することを目的としたパッチです。また、一部周辺チップ(PIC16F8X, MT41ST85W, GD31244など)のサポートも含んでいます。LinuxカーネルのXscaleサポートは元々はPXAをターゲットにしていたので、これらの付加機能は、当初インテルから、現在は、Sourceforge上にてパッチの形として提供されています。但し、最新版は、既述の通り 2.6.15.4向けのパッチで、2.6.16向けのものは存在していません。と、いっても、本家のカーネルの方にもIOPに特化した機能も徐々に取り込まれてきているようで、IOPそのものに向けたパッチとしては、DMA、AAU、CCNTなどの一部を残すのみになっています。

逆に言えば、それらの機能を利用しないのであれば、本家のカーネルのconfigurationを適切に作れば動くカーネルを得られるものと考えられます。(試していませんが。)
但し、これとは別に、グラタンにはグラタン独自の仕様から来るパッチが必要になります。こちらを適用せずに動かすと、例えば、カレンダークロックから日時を拾えないとか、シャットダウン時に電源が落ちないとか(多分)そういうことが起こると推測されます。(やってないので実は起きないかもしれませんが、少なくとも時計は読み出せません。)