既に、あちこちで取り上げられているように、iPod nanoとWalkman Aが、それぞれ発表されました。Appleは、一層のシェアーの拡大を目指して、ソニーは、このジャンルでのリーダの地位を回復すべく、投入した商品だと思います。
しかし、個人的な感想ですが、これでソニーは一層、iPodに水をあけられそうだなと思います。ソニーが、この製品に盛り込んだ差別化ポイントは、長時間駆動、FMラジオ、多彩なプレイモード、そしてWMAサポートなんでしょうけれど、どれも、iPod nanoの価格やデザインを上回って消費者に訴求できるようなものではないように思います。ソニーの没落は、結局、消費者が、ナニを Coolと思うかというのを見失ってしまっていることが原因なんだろうと、改めて思う、新製品でした。
himazu
『ソニーの没落は、結局、消費者が、ナニを Coolと思うかというのを見失ってしまっていることが原因なんだろう』
そうですね。で、その理由を想像するに、Coolな製品を出すチカラがとうとうそれをはばむチカラに負けてしまうような組織になってしまったのではないかと思います。
以前、土井利忠さんの本でCD開発の話を読んだときに、社内でかなりの抵抗に会いながら開発を進めたことを知りました。そして、某ソニーのライバル会社に勤めていたころ、Coolな商品企画が潰れたりCoolでなくなったりするのを見聞きしました。ヘタレのように見えるメーカーでもCoolな製品を発想するチカラは結構あって、ただそれが製品にならないのだと感じたものです。Coolな製品を出す会社と、出せない会社あるいは後追いしかしないように見える会社との差は実は小さいこともあると。
更にそのとき思ったのは、抵抗勢力のチカラが2倍になるとCoolな製品の割合が半分になるといった比例・反比例のような効き方ではなくて、ある程度までならそれを乗り越えてCoolな製品が出るけれども、それを超えるとCoolな製品がまったく出なくなるのではないかということです。
ソニーに優秀な技術者・デザイナーが居るのは間違いないし、Coolなことを考える人も間違いなく居るでしょう。抵抗勢力のチカラが少し小さくなるだけで以前のような輝きを取り戻せるのではないかと思う次第です。
hiro
そうですね。仰るとおりのことが多々あると思います。無骨な家電ばかり創っているイメージのあるH者などはデザイン部門が、Coolなデザインをしても、工場が「こんなデザインでは作れない」と、勝手にデザインを直し、あのような無骨な製品しか出てこなくなっているという話を聞いたことがあります。
ただ、ソニーの場合には多分、もう一つ問題があって……それが、例のカンパニー制だと思います。隣のカンパニーは何するものぞ?といった按配で、隣が何をしているのか知らない、そして、時には、取引先の他社を通して、別のカンパニーと連絡を取るようなこともあるそうです。
このような、社内の風通しの悪さが、例えばiPodの様に、思いっきり割り切り、PC(Mac)に任せるものは任せ、iPod本体は、音楽を聴くことに特化しシンプルに保つというようなことができないのだと思います。ウォークマンAを見ると、単体で完結しようとして、ゴテゴテしてしまっているように見えます。
アレほどのラインナップを社内に持ちながらシナジーが生まれてこない、ソニーの行き詰まりは、こんなところにも根があるのかもしれません。
himazu
そうですね。カンパニー制の弊害かも知れません。松下電器は長らく事業部制でしたが、事業部間の競争など弊害が大きくなって今の社長が廃止しましたね。
そして、カンパニー制が弊害を出している理由は何かと考えてみると、トップのリーダーシップが不十分だからではないかと思います。出井氏は非常に強力なリーダーに私には思え、さすがソニーは素晴らしい人がトップになるなあと思ったのですが結果からすればソニー全体の舵取りを十分にできなかったことになります。そもそも会社が大きくなって事業分野も広がり、全体をうまく舵取りすることは実は不可能なのかも知れません。