知人のブログにバックアップに関する記事の紹介が出ていました。バックアップは、最近、益々重要なものとなってきていると思います。特に写真がデジカメに軸足を移してきていることで、一般ユーザにとってもバックアップは不可欠なものとなってきていると思います。HDD飛んだ、写真消えた……ではシャレになりませんので。いい機会なので、ちょっとバックアップについて考察してみようと思います。
バックアップとは何ぞや……と考えると、データを、マスターとは別に複製して保存しておくこと……ということになると思います。バックアップ先としては、フロッピーディスク、CD-R(RW)、DVD±R(RW)、-RAM、テープ、そしてHDDそのものなどがあります。余談になりますが、写真に限っていえば紙にプリントしてそれを以てバックアップとするという手もあるかもしれません。充分な期間、保存可能な紙とインクであって、充分に精細なスキャナがあれば、それもひとつでしょうが、スペースを食いますので、ディジタルメディアを利用している利点が損なわれるのでお勧めではありませんが。
どのメディアや方法を選ぶのかは、目的や用途、コストなどによって半ば自動的に決定されると思います。ただ、その際に、抑えておくべきポイントとなるものがいくつかあると思います。あくまで私見ですが、以下に列記してみます。
- メディアをマスターと同一筐体に置かない
- メディア自体の信頼性の高いものを使う
- バックアップ中に何度もメディアを入れ替えるようなものは避ける
- 簡単にデータを取り出せるものを選ぶ
メディアをマスターと同一筐体に置かない……というのは、マスターが死んだときに、道連れにされないようにするためです。マスター……以下HDDであると決め付けていきますが、HDDのクラッシュの原因は、電気的なものの他に、ソフトウェアの障害や、熱によるもの、経年劣化などがあります。電気的、ソフト的、熱などは、同一筐体内にあれば、全体に影響が及びますので、バックアップメディアが同一筐体に置かれている場合には、道連れにされる可能性が高いです。そういう意味ではRAIDによるミラーリングは、ほとんどバックアップとしての役を為さないだろうと考えています。全ての障害は、ほぼ同時に両方のHDDを襲うと考えられます。死ぬのも生きるのも一緒よ……ではバックアップにはなりませヌ。また、ミラーリングは常に両方のドライブのデータを同期してくれちゃっていますので、うっかりファイルを消しちゃったんだけど……なんていう場合には決定的に役に立ちません。経験的に、バックアップがあって助かったと思う場面は、マスターの全面的破損よりも、この種の、人為的かつ部分的な欠損になります。そういう意味でもRAIDはバックアップとしてはイマイチだと思います。
メディア自体の信頼性の高いものを選ぶ、というのは、自明でしょう。バックアップは、ある程度の期間、或いは半永久的に利用可能でなければ困ります。信頼性の低いメディアとしては、ノーブランドのDVD±R(RW)、-RAMなどがあります。国産メディアであっても、紫外線などによって、保存状態によっては、読めなくなる可能性も指摘されていますが、ノーブランドは、直後から読めなかったり、或いはかけなかったりと、全く用を為さないことがしばしばです。DVD系をバックアップメディアにご利用なら、必ず、高くても国産のメディアを選ぶべきです。またテープメディアもメディア、運用形態を考えないとなりません。広く使われているDATは、実は、バックアップには適していません。あいつはヘリカルスキャンなので、データの読み書きにテープを引っ張り出す必要があるのです。そして、経験的に、ドライブがテープを絡めとって、ドライブごとお亡くなりになるというのが通常のパターンです。ここ一番で、ドライブもテープも失うという最悪のシナリオが待っているのが、この媒体の弱点です。テープを使いたいなら、値ははってもDLTを選ぶべきでしょう。DLTはヘリカルスキャンではないので、この若布化の被害は起きにくいのでかなりマシです。但し、磁気テープに共通の弱点として、磁気転写や経年劣化があるので、メディアを定期的に上書きするようなローテーションを考えて運用する必要があります。また、一部欠損した、ファイルを取り出すのも苦手です。
バックアップ中に何度もメディアを入れ替えるようなものを避ける、のは、手間がかかるからです。手間がかかればバックアップが億劫になりますし、また、復元に際しても、複数のメディアの中から該当するデータを探しだすのにも不向きです。20MBのHDDを十数枚のFDにバックアップしていたのは昔の話。今は、必要な大きさを持ったメディアを用意してやるべきです。或いは、バックアップ元を適切に分けることで、バックアップメディアの尺にあわせてやる工夫が必要です。
簡単にデータを取り出せるものを選ぶ、は、既に言及していますが、バックアップが活躍する部分の多くは、うっかり消しちゃったファイルを取り戻したり、間違って、改変してしまったファイルを戻したりというような部分的な損傷に対応するケースであり、フルリストアが必要な場面というのは、実際にはそんなにありません。従って、テープのようなシーケンシャルなメディアよりも、HDDやDVD系などのように、ランダムアクセスできるメディアのほうが、個人での運用にはずっと向いています。
以上を勘案すると、バックアップに適しているのは、外付けのHDDということになります。デジカメ写真など、徐々に増える一方のものには、DVD-RAMもいいかもしれません。もちろん国産メディアに限り、直射日光などに晒さないことが肝心となりますが。HDDは世代管理に向かないというヒトもいますが、6万も出してDATを買うんだったら、マスターと同容量のHDDを4つくらい買って、USBケースに入れ替えながら、バックアップしてもいいし、rsyncなどを上手に使って、一台のバックアップ用HDDで世代管理をすることも出来ます。
以上、だらだらと私見を書き綴りましたが、僕が否定したものも、実はそんなことはなくて、かなりお役立ちだったりするとは思います。DATだって必ずしもワカメにはならないし、ミラーリングだって、運良く片方生き残るかもしれません。しかし、バックアップというものは、いざというときに使えなければ何にもなりません。少しでも、いざというときに生き残っていられるようなモノを選ぶのが肝要だと思います。この駄文が少しでも、どなたかのお役に立てばと思います。
yoma1991
すみません、1個目のトラックバックは間違いなので、消しておいていただけますか。半分手作業でのトラックバック送信だとこんなことが起こってしまうのです。
hiro
あはは、やっておきます。
トラックバックありがとうございます。