神様のパズル

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神様のパズル (ハルキ文庫)
機本 伸司
角川春樹事務所
売り上げランキング: 36180
おすすめ度の平均: 4.0
4 異質なものの共存
3 発想はとてもユニークだと思うが
4 おすすめのライトハードSF
5 面白かった
3 魅力あるSF

神様のパズルとは、この場合は、宇宙を創生できるかというお題のこと。宇宙が無から生じたのであれば、そこらにある「無」からも、それをなす事ができるのではないかという問いかけに、飛び級で大学に入ったものの、登校拒否になっていた天才少女と落第すれすれの大学生とが取り組むのだが……。

独自の、理論(もちろん、物語を成り立たせるための虚構です。)で、宇宙の創造に取り組んだりする、ハードコアなSFなのに、舞台は、大学。あるいは、巨大サイクロトロン施設の中に取り残された水田だったり、舞台設定も近未来のようだが、どのくらい未来なのかよくわからないくらいに、ほとんど現代風だし、インターネット上の分散コンピューティングでシミュレーションをしていく様など、妙に生々しいし、SF感の少ないSFです。

著者の、別の作品であるメシアの処方箋にも、共通するテーマなのですが、「我々は何者なのか?」というのが、物語の登場人物たちを突き動かすモチベーションとなっています。ちょっと、説教くさい感じはなきにしもあらずですが、これが物語をドライブしていきます。ライトノベルっぽくもあるので、とっつきやすいのではないかと思います。オススメ。