ローマ人の物語(26)

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賢帝の世紀もこの巻で締めとなります。ハドリアヌス帝の衰えはじめてから没するまでと、アントニヌス・ピウス帝の治世が書かれています。トライヤヌス、ハドリアヌス両帝とも、晩年は失策をおかしてしまいますが、後を継いだ皇帝がそれぞれ、うまく処置をしたので、大きな問題にはならずに済んだようです。幕引きの難しさと、後を継ぐことの、継ぐ者の大変さは、どんなことでも同じなのかもしれません。

薄い文庫本の、半分くらいでその治世を語りつくされてしまっている、アントニヌス・ピウス帝ですが、確立された防衛線とパックス・ローマーナの下で平時の皇帝として、その責を全うしたようです。ただ、それだけに、ローマも皇帝も大禍なく過ごしたので、書くことがないんでしょうね。それはある意味幸せなことかもしれません。

高校の世界史で、呪文のように、五賢帝の名前を覚えましたが、それぞれの治世や、人となりのようなものを掘り下げて見るのは中々に楽しいものでした。テストに出るとなれば、こんなに掘り下げられたらたまりませんが、テストと無縁な大人の楽しみってことでしょうか。