ローマ人の物語(24)

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ローマ人の物語 (24)
ローマ人の物語 (24)
posted with amazlet on 06.08.30
塩野 七生
新潮社 (2006/08)

着々と文庫化が進む、ローマ人の物語。賢帝の世紀は24, 25, 26の三冊に分割されて、トライアヌス、ハドリアヌス、アントニヌス・ピウスの三人の皇帝の治世を描いています。24巻は、全編トライアヌス。その登極から死没までのことが書かれています。

しかし、この時代の資料が乏しい上に、帝国の版図を最大にまで拡げ、内政でも賞賛された皇帝なのに、伝記の類もないということで、ちょっと変わった感じになっています。ダキア攻略は、トライアヌス自身が書いたといわれるダキア戦記が現存しておらず、トライアヌスのフォーラムに残る、円柱に刻まれたダキア攻略をモチーフとしたレリーフから再現しているので、カエサルのガリア攻略の下りなどと比べると迫力や臨場感にかけることこの上なしです。なので、常にもまして、塩野七海フィルターが効いていると見て読むべきでしょう。

資料の少なさに苦心してか、いつもにもまして、ローマが何故凄いのかというお決まりの説明の繰り返しが多かったような気がします。そんな24巻。