勢いに乗 って、YAHAもいっときましたよ。といっても、これは、春日無線変圧器のキットですから、いわれるままに組み立てるだけともいえます。ま、それでも、ケースの加工はあるし、部品の調達も自分で行なわねばならぬモノが多く、自由度はそれなりにあります。
尤も、はじめてつくるYAHAですので、あまり自由にやり過ぎて、本来の性能と違いすぎるモノが出来ても悲しいので、部品は、作例のモノを可能な限り揃えました。違うのはレイアウトと、つまみ、あとは、入力がφ3.5ステレオジャックではなく、RCAの左右独立になっていることくらいです。
ケースの加工で、一番の難物は、センターの真空管用の穴です。φ23mmくらいの大きさが必要なので、5mmのドリルで下穴を打った後、リーマでごりごりと、22mmまで広げて(うちのリーマは22mmが最大径)、ヤスリで詰めました。あとは、ドリルで下穴やら、そのままの穴やらを開けて、バリの処理をして終了。
基板の方は、部品を乗せては半田付けをすればいいだけ。317は、作例に倣い、基板には打たず、ケースをヒートシンク代わりにして、リード線で繋いであります。昨日の、TA2020-020の7805と同じです。ただ、違うのは、7805はほとんど発熱していないのですが、317はかなり発熱があります。317を使ってYAHAをつくるつもりの人は、放熱は要注意です。
あとは、所定の部品を、リード線で繋いで終了です。製作は、流石に簡単。部品点数も少ないですし、電圧も低いので、ホント、初心者でも楽しめそうです。
さて、早速実力のほどを、と、思って、スイッチ投入。が、全然音が出てきません。大体ヒータが光っていません。あれれ、317動作してない?と、思っていると、ゆっくりとヒータに火が入りました。317の定電流源動作による着火というのは、ヒータが定常状態になるのに時間がかかるモノだとしりました。普通に、7806とかで6V生成した方が良さそうです。その場合でも、0.3Aほどの電流を喰うので放熱は気をつけないといけないでしょう。やはり、12V管を使うのが一番YAHAには向いているんじゃないかと思います。
で、音は、BTLアンプと比べてみたのですが、しっとりした感じになり、真空管らしい雰囲気が出ているんじゃないかと思います。12Vなんていう低電圧動作ですから、パワーはなさそうだと思ったんですが、ヘッドフォンをかなりパワフルに鳴らしてくれます。意外や意外。結構いいですよこれ。
6922と、PCC88の二本を用意してあるのですが、入れ替えても、そう大きくは変わらない感じです。尤も、説明書には、50時間くらいエージングしてから音質については語れ、ということも書いてあるので、ほとんどおろしたての状態で何ですが、若干、6922の方がクリアな感じです。
そして、入力を左右独立にしてあるのですからと、クロストークの塩梅を耳で確かめることに。方法は簡単。片方引っこ抜くだけ。すると、二本の管に差が出ました。PCC88の方は、右だけ入力で左耳、左だけ入力で右耳に、それぞれ小さく音が鳴っているのが聞こえますが、6922の方は、ボリューム最大まで開けても、全く聞こえませんでした。勿論、個体差ってだけかもしれませんが、真空管によって、クロストークの程度は変わるようです。まぁ、同じ管の中で左右の信号を流しているんですから、左右の分離度が悪い構造だと音も混ざるでしょうね。
ゼロバイアス、低電圧動作、オペアンプをボルテージフォロワーで使ったインピーダンス変換と、きわもの色の強いYAHAですが、その実力は侮りがたいという感じです。何より、高電圧、高価、重い、トランスが全く要らないので、安くてちっちゃくて、かわいらしいヘッドフォンアンプが手軽に出来るのは、非常にいいと思いました。
余談ですが、テスト中に、ソニーのカナルヘッドフォンの左側が死にました。断線です。ドライバーユニットのあたりを押したり引いたりしていると音が出てくるので、接触不良でしょうね。とほほほ、新しいの買わないと oTL